木村屋敷・・・国指定登録有形文化財(文化庁 第22-0177) *この建造物は、貴重な国民的財産です。
2015年04月21日
皇室向きのお茶室
日本伝統技術建築の大御所、中村昌生先生が訪れて下さいました。数年にわたるアプローチがやっと実ったのです。玄関先に御出迎えにあがると、「やぁ、小林さんお叱りを覚悟でやって参りましたよ。」・・と冗談をいいながら、まるで長年の知己のように気さくに、お声をかけてくださいました。先生とは何度か電話では話をし合ってはおりました。しかし、こうしてお目にかかるのは初めてでした。
八十七歳という御高齢にも関わらず午前11時から午後の4時ころまでの5時間にわたり邸内をエネルギッシュに隈なく調査し、「奇跡だ。」と何度もおっしゃったのです。
「やんごとなきお方をお迎えする屋敷であることは疑う余地がない。お茶室として理にかなっており、この様な建物が存在している事が奇跡と言うほかに言葉がない。」
・・私が今まで調べていた事、つまり皇室のために作られたお茶室である事が、中村先生により「きちっと」裏付けけられたのです。
また先生は庭の専門家である、野村庭園研究所の野村勘次先生に庭の調査を依頼するとまで言って居られました。野村先生に同行して、もう一度お見えになられるとの事でした。
野村先生は名古屋万博の日本庭園、浜松花博の日本庭園を手がけた庭の第一人者です。
木村屋敷が庭園も含めて、全てが「お茶室」として建設されている事が解明される日も近いでしょう。
とも角、日本建築と日本庭園の第一人者であられる両先生に本格的な調査をして頂く事が可能となりそうです。
中曽根首相がレーガン大統領を自分の山荘に招きお茶を点てもてなし、レーガンさんが自己所有の牧場に中曽根さんを招き、互いにロン、ヤスと呼び合う仲となった事は有名な話で、 欧米社会では、宮殿や官邸での接待は単なる儀礼的なものであり、プライベートの山荘などへ招く事こそが真の友情を深める「おもてなし」なのです。
木村屋敷は皇室が諸外国のトップをプライベートで接待する山荘として建設された屋敷であると思われます。
「お茶事」は日本の伝統的な思想、宗教心、芸術、美意識等を集約したものと言われており、お茶室はそれを盛り込む器ですから、この屋敷こそ最高の迎賓館であると思います。
静岡県はお茶の一大産地です。この様な最高峰のお茶室が八十年も前に「静岡の地」に建設されていた事実は特筆されるべき事であり、この屋敷の建設経緯などを詳しく知るべくしっかりとした調査が待たれます。
Posted by こばやし at 11:01│Comments(1)
│屋敷来訪者
この記事へのコメント
永遠に存続して欲しいと思います。
Posted by ぶらっけ at 2017年07月28日 07:07